インターネットは、もはや一部の人々のメディアではなく、大衆メディアへと成長しつつあるといえる。
新しいメディア・商品の普及は、ごく一部の新しいものに興味をもって取り入れる人々(革新層と呼ばれる)から始まり、それが話題となり迎合して流行を形成する人々(迎合層)に取り入れられ急速に拡大し始め、大衆に取り入れられて普及していく。
日本におけるインターネット人口は、およそ一000万人といわれ、すでに迎合層から大衆層に取り入れられ始めていると見られる。
こうした中、多くの人々が検索サイトを利用しており、こうしたインターネットの情報検索の入口として使われるポータルサイトが、メディアとしての地位を築きつつある。
たとえば、一日2000万以上のページが見られており、テレビ並みの露出機会を持ちつつある。
こうしたポータル・サイトは、検索機能のほか、ユーザの嗜好に合わせた情報提供、ニュース・サービス、分野別のポータル・ページなど、より多くの一般視聴者を集めるためのさまざまな方策を模索している。
インターネットの特徴は、利用者がそれぞれ好みの情報を検索し得られるところにあるが、一方で、利用者がある程度分野を選択したうえで、テレビやラジオのように供給者から一方的に情報を受信したいニーズもあり、そうした操作をしなくても情報が得られるようなプッシュ機能を持ち始めている。
プッシュによる情報提供は、現在のところ、文字やアニメーションによる情報提供が主体となっているが、ケーブルテレビ・インターネットなどの普及によるインターネット回線の高速化やマルチキャストによるインターネット配信の実現、MPEG4などの圧縮技術の向上により、動画や音声によるインターネット放送も早晩普及することが予想される。
現在は、テレビやラジオのレオロジーで利用者がリアルタイムで視聴しているが、将来、利用者端末のハードディスク容量がさらに拡大することで、利用者が自分の好みを登録し、自動的に番組をより分けて録画するといった利用の仕方が可能となるであろう。
こうなると、もはや、放送の枠を超えたコンテンツの配信システムとして、音楽やビデオなどの配信サービスの開始も考えられる。
また、こうした動画像に対して、メール・ニュースなどのテキスト情報の配信も、依然重要な地位を占めるものと思われる。
テキスト情報は、情報を簡潔に迅速に伝えるのに優れ、情報の分類整理もしやすい。
一般大衆利用者の情報リテラシーが向上するにつれて、テキスト情報の利用は、今後ますます高まると思われる。
一方、インターネットは、マーケティングや決済など、メディア自身が機能を持つ、これまでにないメディアでもある。
インターネットによる情報提供を行うこと自体が、商品の販売であり、マーケティング情報の収集の機能を持っている。
オンデマンドによる情報の販売や、電子商取引による商品販売は、その市場の拡大とともに、現在もっとも注目されている分野である。
しかし、さらに着目すべきは、マーケティング情報の収集である。
インターネットによる情報検索は、それ自体が利用者の動向を表わしており、そうしたマーケティング情報を収集・利用することで、消費者の商品に対する嗜好動向、サービスに対する満足度、個人別の嗜好のセグメンテーション分類が可能となり、商品の改良、サービスの改善、効率的な販売プロモーションなどが可能となる。
今後、インターネットによる販売.消費市場が拡大するとともに、インターネット上におけるマーケティング情報の収集は、その重要度を増すことであろう。