新聞や書籍、ビデオやCDといったメディアは、依然メディアの中でも大きな地位を占めている。
こうした形あるメディア(ソリッド・メディア"本書における造語)は、販売・配布しやすく、保存やコレクションにも便利なことから、今後も残っていくことであろう。
しかし、メディア・ビッグバンは、その形態を大きく変えることだろう。
これまで、新聞や書籍といった紙に代わるものはなかなか現われなかった。
紙は、軽く携帯性に優れ、かつ低コストなメディアである。
しかし、技術の革新により、新聞や文庫本並みの小さな字を表示でき、ノートのように薄くて軽い液晶ディスプレイが実現可能となった。
こうした携帯液晶ディスプレイの優れた点は、百科事典のような大量の情報を格納しても紙よりも軽く、印刷コストや紙コストの低コスト化が可能な点である。
紙に匹敵する携帯性や表示が可能になったことで、紙の新聞や書籍に代わるメディアとなる可能性が開けてきた。
コンテンツは、ディスクやメモリといったソリッド・メディアやネットワークで配信され、利用者はそれを携帯ディスプレイに読み込ませて利用することになるであろう。
一方、音楽や映像などコンテンツを記録する媒体についても、変革が進んでいる。
CDに続いて、映像をデジタル記録するDVDが登場し、さらに記録可能なCDやDVDも登場してきている。
さらに着目すべきは、ICメモリそのものを記憶媒体とした「スマート・メディア」「コンパクト・フラッシュ」「ミニチュア・カード」や「メモリ・スティック」などの小型フラッシュ・メモリ、「マイクロドライブ」などの超小型ハードディスクなど、より小型で書き換え可能な記憶媒体である。
これらは、デジタル・カメラやノートパソコンなどの記憶媒体として、すでに普及しつつある。
こうした記憶媒体の特徴は、データ、音楽、映像など、さまざまなコンテンツを記録することが可能な点である。
逆にいえば、データ、音楽、映像は、どんな媒体に記録するかで区別されるのではなく、どんなフォーマットで記録するかで区別されるようになりつつある。
たとえば、音楽をMP3というフォーマットで記録したファイルは、インターネットで配信してパソコンで再生することができ、さらには、こうしたソリッド・メディアに記録して、専用のMPプレーヤーで再生することもできる。
一方、同じソリッド・メディアを使って、デジタル・カメラで静止画を記録したり、動画を録画することもできる。
これからのソリッド・メディアの特徴は、コンテンツの種類と媒体が分離している点である。
これにより、今後、コンテンツはさまざまなメディアで、さまざまな形態で供給されるようになり、さまざまな利用方法がなされるようになるであろう。
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