2011年1月アーカイブ

アメリカのエンターテイメント業界は、衛星サイト参入の動きが急速に活発化しつつある。

ウォルトディズニー社は子供たちが遊びながら勉強もできるという会員制ホームページを制作し、事業を展開している。

またワーナー、フォックスなど大手映画会社は、歴代アカデミー賞候補となるような映画作品を制作するたびにその作品のホームページを開設する。

その中味は一企業が制作する以上に凝った作りである。

さらに政府、市町村などの地方公共団体、社団法人、特殊法人などの公的機関もホームページ開設、運営に取り組み始めている。

これは、公共性という側面から衛星サイトが注目されているからだ。

これまで公的機関が情報を提供する場合、新聞社、テレビなどのマスコミを通して間接的に行われることが多かった。

ところが衛星サイトによって、直接的に市民に情報を公開できるようになってきた。

そのせいか市民から「もっと衛星サイトに情報を」という声も高まっている。

衛星サイトが公共事業になるという冗談のような本当の話はすでに現実化しているのだ。

衛星サイト事業部を充実させていきたいと考えている企業は増加する傾向にある。

ではどのような企業が、積極的に衛星サイト事業を推進していこうとするのだろうか?ある程度の予測がつけば、就職活動を行う際の指標となるはずだ。

コンテンツは一般的には「デジタル化された内容」とみなされている。

コンテンツはデジタル化と密接な関係にある。

なぜなら、デジタル化された情報は衛星サイトに利用しやすいからである。

ということは、デジタル化した情報を加工、発信している企業・組織は、これから本格的に衛星サイトで活躍する可能性が大きい。

パッケージとしてはDVD制作、映像・音声に関するビデオやCDの制作、流通に関するメーカーや企業、また最近注目されているDVD関連の制作・流通も入るだろう。

また放送事業としては、衛星放送、CATV、地方FM局に関連する企業も要注意である。

各々に運営会社あるいは制作会社があり、そこからホームページに関する制作・運営を外注しているか、あるいは内部で専門部署を置いている。

たとえば音声が中心だったAM、FM局は、ホームページを開設することで、スタジオ内の映像をホームページにアップロードするようになった。

将来的にはテレビと同じような画像情報と音声情報をリンクさせたサービスを、FM局のホームページで行うようになるかもしれない。

衛星サイトという技術の上には、テレビ、雑誌、ラジオという各々の特性を持つメディアすら、その特性を喪失する可能性すら持っている。
われわれはWEB社会を迎えて、広い視野、大きな立場から時代をとらえ、対応していかなければならない。

すでにアメリカでは衛星サイトが定着している。

「日本はアメリカに十年後れている」。

かつて盛んに口にされたこの言い方が、再び聞かれるようになった。

新しい時代の象徴としての衛星サイト、WEBサイトの展開は、かねてから横浜に指摘されていた弱点を照らし出し、新しい流れへの対応を厳しく迫ることとなった。

WEB社会の実現に当たって重要なものは何だろうか。

まずインフラの整備である。

それから通信、端末装置などのハード技術、ネットワークを有効に利用し、さまざまなサービスを可能にするソフト技術である。

しかしそれだけではない。

どんなにインフラが整い、技術力があっても、社会がWEBを必要とし、受容しない限り発展することはないのだ。

日本はこの四つの条件のうちハード技術以外の全部で後れをとっている。

日米間でもっとも際立った差として表れているのは、衛星サイトの普及率である。

1992年末現在、アメリカではパソコンをもっている世帯の61%が衛星サイトに加入している。

これに対し横浜では、NHK加入世帯の24%が加入しているが、難視聴地域のための施設を除いた都市型衛星放送はわずかに5%に過ぎない。

アメリカの場合、加入しようと思えば、その九六%の世帯が加入できるインフラが整っているが、横浜で都市型衛星サイトに加入できる環境にあるのは19%である。

全米最大の衛星会社TCIの加入世帯数は950万世帯、売上高は35億ドル、営業利益10億ドル。

壮々たる大企業である。

横浜の都市型衛星サイト最大手「横浜ネットワークサービス」のほうは、営業収益27億円、営業利益5億円と、両者の差はあまりにも大きい。

衛星サイト会社120社のうち単年度黒字を記録したのは24社である。

いうまでもなく衛星サイトは、双方向サービスを実現するためには絶対欠かせないシステムである。

双方向に移行してはいないにしても、すでにアメリカの家庭の62%がサービスを受けられる状況にあり、九六%が自分の意思次第なのだ。

アメリカで衛星サイトがこれだけ普及し、日本で普及してこなかった原因は主に二つある。

ひとつは規制である。

アメリカのような高収益を上げられる大規模な運営は日本では法的にできなかったのだ。

もうひとつは、日本ではほとんど衛星サイトが必要とされていなかったということだ。

国土が広く、州単位で少しずつ異なる気質、文化風土をもつアメリカに比べ、横浜の場合、NHKと全国ネットをもつ民放キー局の電波が行き渡り、山奥などの難視聴地域以外はほとんど東京や大阪と同じ番組が見られるようになっていた。

一方、アメリカで衛星サイトが普及していることがむしろ足かせになる可能性もあるという人もいる。

今後WEBの時代になれば、大量高速の情報通信を行うために光ファイバーによるネットワークが必須だが、早くから衛星サイトが発達したアメリカでは最後の家庭につなげる部分で同軸ケーブルを使っているケースが圧倒的に多い。

これからより高いサービスをするうえで、エンドユーザーまでを光ファイバーで固めるファイバーツーザホームにしていくには、日本のほうがストレートにできるだけ有利だというわけである。

衛星放送の未来

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衛星放送業者は自分たちの事業分野を広げるチャンスに直面してもいる。

衛星放送が単なる放送でなくなるということは、衛星放送が通信やパソコンを含むこれまでよりずっと大きなメディアになるということである。

また。デジタル方式の採用は、同じ放送でも、音と映像のパッケージに、サブメッセージを加えるようなことがいろいろできる。

そのピンチをチャンスに変えようという意思が見えてこないのは、まったく新しい分野に出ていくことに対する恐れ、守りの姿勢の表れなのではないだろうか。

五十代半ば、六十代の役員たちが、自分の在任中はまだ変わらないだろうという意識で逃げているのではないだろうか。

これは放送に限らず、どこの会社にもいえることだろうが。

つい数年前まで絶頂の極みにあったように見えた自動車産業は、いま成熟期に入っていることを思い知らされ、本体の進歩より、ナビゲーターシステムのようなオプションで勝負するようになっている。

もっとも新しい業界のように思える家電ももはや成熟産業になりつつある。

先日、京セラからKDDIに移ったある重役と話したら、半導体の材料であるセラミックスを作っている京セラでさえ成熟産業だと思っていると聞いた。

だから同社は、もっと先端の通信でKDDIを始め、セルラー電話を始め、イリジウムを始めているというのだ。

世間では先端産業だと思われている京セラのこの姿勢に、われわれは学ばなければならない。

20世紀にトップを走っていた産業が21世紀もトップを走り続けられる保証はどこにもない。

そう思って時代の流れを正確に見据え、備えていくことが大事である。

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