スーパーモデルのナオミキャンベル、そして97年6月からは松田聖子を地上波TVのCMに起用したことでも話題となった「バーフェクTV」。
CSのアンテナを見て「これ、なあに?」と聖子が聞くと、コシノ・ジュンコが「パーフェクTV」のアンテナ、と答えるバージョンのほか、CSを知らない人に対して絶叫する聖子、あるいは通行人を「パーフェクTV」に勧誘する聖子といったパターンがある。
CSデジタル放送に関して、日本では「バーフェクTV」が草分け的な存在だ。
スタート時点では衛星「JCSAT-3」の打ち上げから試験放送まで11か月ほどかかったものの、96年10月に本放送を開始した。
当初は96年6月に本放送を開始する予定だったが、日本初のCSデジタル放送だけに、調整に予想以上の時間が必要だったようだ。
といっても、3社のなかで先頭を切って開業した「パーフェクTV」は、加入者レースで充分に先行したうえで"逃げ切り"を狙っている。
目標は毎月5万の契約者を獲得すること。
しかし「ディレクTV」の猛追があると、うかうかしてられない。
毎月の加入者数の目標は5万件のようだが、実際には3万件強といったところのようだ。
97年3月末までの目標である30万件は、わずか2ヵ月後に達成。
スタートしてからちょうど一年目の97年10月には約45万件に達した。
そして12月には加入者がついに50万件を超えた。
しかし、97年3月期の決算では、まだ72億円の赤字を計上。
年内に増資して100億円を調達したという。
CSデジタルという市場を開拓するには、加入者にCS用のIRD(受信機)を買ってもらわなければならない。
そのため、メーカーや流通業者に対してインセンティブ・プロモーション(報奨金などによる販促方法)を実施している。
これが赤字を増やす一因になっているようだ。
97年9月期での累積損失は150億円、98年3月には200億円を越える。
ただし、97年末に資本金を200億円に倍増。
主要株主にTBSが加わり、コンテンツへの判断力が増したようだ。
「ディレクTV」が本放送を開始する前に加入者を60万件にしたかったところだが、およそ一年間で50万件の加入者を得たというのは、92年にスタートしたCSアナログ放送の加入者と比べると格段に速いペースである。
NHK衛星放送のペースにはおよばないものの、「WOWOW」とほぼ同じ程度に伸びている。
「パーフェクTV」の目標としては98年度内には100万件、さらに99年度内には150万?200万件を目指しており、単年度黒字を期待しているようだ。
アメリカで加入者数を順調に伸ばしているヒューズ・エレクトロニクス社の「ディレクTV」の契約者は、スタート一年目で100万件だった。
人口が日本の約2倍であることを考えれば、パーフェクTV」と同じペースである。
アメリカのCS市場はライバル社があることを差し引いても、有料放送にまだ慣れていない日本での成績としては合格点といえる。
加入者獲得のための宣伝として、家電量販店に来る客だけでなく、集客力のある飲食店などで「パーフェクTV」を体験してもらい、その魅力を紹介する方法も採っている。
そのよい例が、アサヒビールの子会社であるニューアサヒのレストラン「サテライト・ダイニング・アサヒスーパードライよこはま」だ。
店内には40台のTVモニターを設置し、常時「パーフェクTV」の番組のなかから映画やスポーツなどを流している。
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