郵政省は96年4月、中長期ビジョンをまとめた。
「地上波やCATV、衛星放送などのTV放送は2000年?05年に導入し、10年までに全面的にデジタル化する」というものだ。
すでに海外ではデジタル方式が主流なだけに、このままでは放送の高度化に乗り遅れると懸念したのだろう。
翌97年3月、郵政省は地上波TVのデジタル化を「今世紀中に早めたい」と新政策を発表。
地上波デジタル放送を2000年以前に始められるよう制度の整備を進めると、放送行政局長が述べた。
このままでは欧米に遅れるとの危機感の表れだが、行政による新政策の打ち出し方としては異例のスピード会見だった。
通常、政策を決定するには審議会や懇談会を開いたうえで関係者の意見を集約するのだが、今回はこうした"根回し"をしないで発表した。
まず行政が提案した後に、業界や関係者が意見交換するという欧米の政策決定スタイルを採ったようだが、それほど急いでいたということもできる。
コメントする