2011年5月アーカイブ

衛星サイト専用ネットワーク

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NTTは、動画付き衛星サイト時代に向けて、今後どのような事業展開をしていくのか。

まず第一は、ユニバーサル・サービスの確保だ。

動画付き衛星サイト時代とはいっても、最も基本になるのは電話サービスである。

第二は、通信ネットワーク中心の提供型サービスから、ユーザー・システム中心の選択型サービスへの転換である。

要望の強いLAN間通信などの高速コンピューター通信については、その早期実現に取り組むほか、多様なサービスの融合を目指し、今後の急激なニーズの拡大が予想できる映像通信や、動画付き衛星サイト通信については、IP(情報提供業者)、メーカー、ユーザーと協力してサービスの開発を進める。

ここで利用意向、利用特性、端末の操作性などニーズを詳細に把握して、それを事業化に活かす方針。

さらには、スケジュール管理など電子手帳機能と、電子メールなどの通信機能をあわせもった携帯情報端末について、メーカーと提携しながら開発を進め、PHSの利用を一段と広げる計画だ。

第三は、ネットワークサービスのラインアップとカスタマイズ化。

光アクセス網の構築ステップを用意し、それにユーザー・システムやアプリケーションなどを組み合わせたカスマタイズ化を充実させていく。

第四は、利用しやすい料金。

ユーザーの利便性向上と情報通信市場の活性化に向けて、今後の動画付き衛星サイト時代のサービスについて、利用しやすい料金体系の確立を目指す。

第五は、ネットワークのオープン化と高度化である。

ネットワークの高度化とは、デジタル化と光ネットワークの構築。

日本全土バックボーン(骨格)となる伝送路のデジタル化・光化はすでに完成しており、市内交換機のデジタル化についても九七年までに完了する予定だ。

さらに今後は、高度なサービスを実現するためには、加入者宅まで光ファイバーを配線した光アクセス網の構築が必要となる(図5-9)。

なお、この高度サービスの基般皿となるのが衛星サイト専用ネットワークだ。

これはやがては、CATV事業者などとの競合の中で整備が進められることになるが、NTTとしては設備の維持・更改という基本的な事業活動の一環としてこれに取り組む。

光化は、需要の発生状況や他事業者の動向、技術開発によるコストダウン状況などを考慮しながら進めることにしているが、二〇一五年までには全家庭への光化を完了する予定だ。

また、公正競争条件のいっそうの整備を図るために、ネットワーク機能やネットワーク情報のオープン化を拡大していく必要があり、そのための検討を積極的に進める。

NTTでは電気通信の自由化以降、公正競争条件確保の意味から、POI(相互接続点)の設置やID化の推進、各種情報開示などネットワークのオープン化を進めてきたが、サービスの多様化にともない、接続機能などのネットワーク機能や、接続管理情報、故障管理情報などのネットワーク情報について、そのオープン化を拡大していく必要がある。

現在のネットワークは、必ずしもオープン化に適合する形態とはなっていないため、ネットワークのオープン化については、ネットワーク設備、ネットワーク機能などの整備が不可欠となる。

また、接続の形態、網機能・網情報の提供方法、コストなどについて関係機関との検討も必要で、これらを今後積極的に推進していくことになる。

第六は、情報通信産業発展の源泉である技術開発力の保持で、今後も基礎基盤研究から応用開発まで一貫して進めるのはもちろん、技術の融合化、多様化に対応して、国内外のさまざまな分野での優れた技術との提携も考慮しながら、特にソフトウェア開発に重点を置いた開発を進めていく。

第七は、グローバル化に対応した国際活動の強化だ。

イギリスのBT社、アメリカのAT&T社など海外の主要キャリア(電気通信業者)は、海外投資を積極的に実施するとともに、経済のボーダレス化に対応した「ワン・ストップ・ショッピング」、つまり、どの国にいてもひとつの窓口に連絡しさえすれば効率のよいサービスが受けられるというサービス・システムなどを実現するため、事業者間の連帯強化を図っている。

これに対して、NTTの国際進出はタイのTT&T社やアメリカのネクステル社への資本参加など、まだ緒についたばかり。

今後さらに、国内外の事業者やベンダーと提携を進め、世界の動きに対応していく方針。

ちなみに、過去七年間の海外投資額をみると、英BT104億ドル、AT&T92億ドル、英ケーブル&ワイヤレス26億ドル、スペインのテレフォニカ22億ドル、米ベル・サウス12億ドル、米USウエスト12億ドルといった数字に対し、NTTはわずか1億ドルにすぎない。

そして第八は、国内外の企業との提携の積極推進。

技術革新や情報化ニーズの多様化によって、新分野.業際サービスが出現しグローバル化が進展してきていることから、研究開発や国際活動の分野にとどまらず、サービス開発の分野でも国内外の企業との提携を積極的に進めるとしている。

この取り組みの第一弾が米ジェネラル・マジック社への出資、技術提携だ。

NTTの動画付き衛星サイト戦略の推進を行うばかりでなく、緊急を要する項目について重点的に取り組む。

まずATM技術と光ファイバー技術を活用したギガビット・クラスの高速・広帯域バックボーン・ネットワークをNTTの社内OA用として構築し、構築技術や管理技術などの確立を図るとともに、共同利用実験を行い新たなアプリケーションの創出を目指す。

また、双方向映像通信サービスであるビデオ・オン・デマンド(VOD)やCATVなどと既存の電話サービスがあわせて提供できる融合システムの利用実験を自社住宅ユーザーを対象に行う。

一方、大容量のさまざまな情報を、必要なユーザーに提供していくためには、ATM(非同期転送モード)技術を利用した新しい交換システムが必要。

そこでこれを経済的に実現していくために、ATM技術と従来からの交換システムであるSTM(同期転送モード)技術を組み合わせたビルディング・ブロック方式の新交換システムの開発を進める。

これは、動画付き衛星サイト通信などの高度サービス需要に対応するためには、デジタル中継網の機能高度化(図5-11)が不可欠なためで、これには、コンピューター通信や動画付き衛星サイト通信への柔軟かつ迅速な対応が必要となる。

これを可能にするのが、共通プラットフォーム上で必要に対応してビルディング・ブロック形式で組み込むことができる新しい形のノードだ。

今後の交換機は、動画付き衛星サイトを扱うATMが主流になると予想されるが、しばらくは従来のブログ代筆専用ネットワークやアナグロ電話(プッシュホンを含む電話機、ファクシミリ、パソコン・モデム)を扱うSTMとの併用になる。

そこで、ATMとSTMを複合した方式として、共通したプラットフォーム上にATMとSTMを載せた交換機が必要となる。



動画付き衛星サイト時代となると、データベースの形も一変しなければならない。

というより、新たなデータベース作りのコンセプトが求められる。

従来のように、文字、数字の中からの検索ではなく、対象は、音声、静止画像、動画にまでも及ぶからだ。

しかもデータベースに蓄積する情報量は、従来と比べて飛躍的に巨大となる。

また、データベースからリアルタイムで必要な情報を得たいといった場合、動画などをリアルタイムで再現できる高速性が必要となる。

さらには、感性検索といった新しい検索の仕方も開発されなければならない。

「すがすがしい朝の海の風景」と指定するだけで、それに相当する画像を選び出すことができるというのが感性検索だ。

感性という新たな属性の導入は、今後の動画付き衛星サイト時代のキー.テクノロジーとなる可能性がある。

例えば、静止画像を探すだけなら、従来のリレーショナル・データベース(RDB)を拡張し、画像データを収納する光ディスク資源を付加することで達成することはできる。

ユーザーは、観光名所の屋島について、その所在地と写真を検索したいとする。

ユーザーがそのような要求を自然言語、つまり、普通に話す言葉でキーボードから入力すると、対話理解ソフトがその質問を分析し、リレーショナル・データベースを検索するための言語であるSQL言語を生成する。

それに従って、観光地データベースを検索すると、屋島は高松市にあり、その写真は、光ディスク装置の54321番目のブロックに収納されていることがわかる。

これを手掛かりに、光ディスク装置を検索、観光地写真データベースを調べ、ディスプレイ上に写真とともに所在地を表示する。

しかし、ひとたび時間軸をもつ画像となると、さまざまな問題が噴き出してくる。

特に、動画をリアルタイムにデータベースに取り込まなければならないといった場合、それは非常に厳しくなる。

10台以上のハード・ディスク装置を並列につないでディスク・アレイを作り、それに記録させていくという「RAID」(レダンダント・アレイ・オブ・インエクスペンシブ・ディスクス)といったコンセプトが打ち出されているのもこのためだ。

さらには、音声で検索してくれという要求もあるだろう。

例えぼ、誘拐犯人から電話がかかってきた。

電話の主の音声を録音した。

この音声と、データベースに入っている音声の中から同じものを探して出してくれ、といった形でのデータベースの検索である。

また、「ナビゲーション」の問題も大切だ。

これは「ブラウジング」とも呼ばれるが、巨大なデータベースの中に入って、目的の場所までたどりつく仕組みのことだ。

これも非常にしっかりしておかないと、さまざまな検索形態に所定の時間で対応できなくなってしまう。

場合によっては、いろいろ探していくうちにデータベースの中のどこにいるかわからず"迷い子"になってしまうという問題すら生ずる。

これは、しっかりした動画付き衛星サイト・データベース向けの「スキーマ」、つまり、データベースの構造を決める骨組みが必要ということである。

最近よく使われているハイパーメディアでは、このスキーマがない。

そこでユーザーは、オブジェクト間に張られているハイパーメディア・リンクと呼ぼれる"糸"をたよりに目的のオブジェクトにたどりつかねばならない。

まるでクモの巣の中を求めて走り回るようなものである。

それにハイパーメディアでは、新しいメディア・データを追加するのも大変だ。

例えば、新たに画像データを追加する場合、その画像データと既存のデータとの関係を片っ端から調べ、関係をもつものがあれば、その間に新たにハイパーメディア・リンクを張る、という作業を行わなければならない。

これは気が遠くなる話である。

動画付き衛星サイト・データベースについては、いまさまざまな試みがなされている。

そのいくつかの例を紹介することによって、動画付き衛星サイト・データベースの世界を垣間見ることできる。

まず名刺画像検索システム。

いまは、名刺上の文字を読む機械に名刺を挿入、文字を読み取ってデータベースに貯えるという方法がとられている。

ところがそうではなく、名刺をそのままイメージとして取り込んでしまう。

その検索は、手書きで探したい人の名前を入力すると、相当する名刺を検索、名刺をイメージで出力してくる。

こういったものも試験的に作られている。

電子技術総合研究所(電総研)では、「トレード・マーク」と呼ばれるデータベースを開発している。

そこに蓄積されているのは商標だとかロゴだ。

商標やロゴは、類似のものを使用すると、知的所有権上の問題を引きおこす。

そこで類似のものがあるかどうか検索しようというのがこのシステムだ。

そのためには、類似商標やロゴを探す新たなロジックを組み立てなけれぼならない。

このテクニックは、今後、動画付き衛星サイトで画像やデザインなどを扱う際に、類似性の検索という新たな検索法の発展に威力を発揮する。

この検索の仕方は、まず探りたい商標などを手書きで描く。

この手書きのスケッチで検索が始まる。

あるいは、何か例を出して、この例に似たものを探せという例示検索も可能である。

京都大学は、地図案内システムを開発した。

これは結構役立つものだ。

京都を訪れた旅人が、バスを利用して京都をみて歩くというのが主眼。

旅人は、出発点と目的地を入力する。

そうすると、目的地までに、何番のバスをどう乗り継いでいけばいいか、というバス路線が表示されるとともに、その経路の途中にある名所旧跡が映像で出力され、それに対する解説も行われる。

これなど、いますぐにでも使えるれっきとした動画付き衛星サイト・データベースだ。

シャープの研究チームは、やや長いのだが、意味ベクトルによる自己組織型百科事典データベースの連想検索技術を開発している。

これは、動画付き衛星サイト対応の百科事典データベースを、思い付いた言葉で連想検索することによって、目的とする情報や気づかなかった関連情報を得るというもの。

ワークステーションとDVD-ROMでするが、各種の動画付き衛星サイトDBへの拡張が可能という。

ネットワークや動画付き衛星サイトが進展する中で、情報洪水から真に必要な情報を引き出す方式であり、今後各種の情報機器の必須機能になることが期待されている。

その特徴は、キーワードに頼ることなく、人間の連想機能をもった検索が可能で、連想検索のための意味ベクトルを自動的に生成する。

要求された内容に近い順序に検索、表示することができ、言葉での画像検索も可能。

例えば、脚線美で有名な女優はPというとモンローの写真が出るといった旦ハ合いだ。

これからは、映像についてのユーザーの主観的な解釈が検索のカギとなる。

いわゆる感性検索だ。

ただこの問題は、ある人は爽やかと感じても、別な人はそうは思わない、という微妙な食い違いも存在しうる。

電総研がこの感性検索に挑戦して、「アート・ミュージアム」というデータベースを試作している。

これはフルカラーの風景画のデータベースだ。

このデータベースに対して、何か形容詞を提示すると、その形容詞に当てはまる絵を検索し、出力してくる。

マルチメディアについては、このようにさまざまな試みがすでに始められていデータベースでの一貫性の保持データベースでの一貫性とは、ある事項に関して、ひとつでも誤った情報が入ってはいけないということである。

すでに死亡している人の映像が、まだ生きている人の情報の中に入っていては困る。

これはただちに削除されなければならない。

しかし、この一貫性が保ちにくいデータベースの仕組みもある。

例えば先のハイパーメディアだ。

クモの巣のようなつながりの中で関連情報を探し、一貫性を保っていくというのは並大抵のことではない。

そこで注目されているのが、オブジェクト参照法によるデータベースの検索だ。

オブジェクト参照法では、核オブジェクト・べース中の目的のオブジェクトを消去すると、参照関係にある各メディアごとのオブジェクトを一度に削除できる。

一貫性の保持が極めて容易に行えるという特徴をもつ。

挿入や書き換えについても同じだ。

オブジェクト指向の動画付き衛星サイト・データベースとは、プログラミング言語で生成されたオブジェクトはプログラムの終了後もデータベース中に格納されており、必要な時には、別のプロ

グラムからアクセス可能になっているもの。

オブジェクト指向データベースでは、「IS-PART-OF」という参照関係をサポートすることができる。

すでにこのようなデータベースとして「オメガ」といったものが試作されている。

マイクロソフト社は、オーディオやビデオなど連続情報メディアを配信するための新しいソフトウェアを発表した。

このテクノロジーは、個人、企業、地域規模でのメディア・オン・デマンドの提供を可能にするもので、コンパック、インテルの二社が、この技術によるメディア・サーバーのデモンストレーションを行う最初のハードウェアメーカーとなる。

このソフトウェア製品は、広帯域交換網に欠かせない基幹部分を構成するもので、ユーザーからの要求に応じて、音声や映像による連続メディアを配信する際に生じる問題を解決するのが狙い。

ハードウェアに依存することなく、マイクロプロセッサーやATMなどをフル活用することができる。

何千ものメディアのファイルから、必要なものを数分の一秒でアクセスできるばかりでなく、一時停止、巻き戻し、早送りやユーザーが指定した位置へのジャンプといったレーザ・ディスクのような機能ももっている。

マイクロソフト社は「ビデオ・オン・デマンドは高性能マシンでのみ実現可能と考えているが、実際はソフトウェアの問題である。

適当なソフトウェアさえあれば、いろいろな面での実用化が可能になる。

例えば、個人およびワークグループ用としてはパーソナル・タイガー、中小規模の私設ネットワークにはコーポレイト・タイガー、サービスの対象地域が都市規模であれば、シティ・タイガーといった形で展開していくことができる」とコメントしている。

新技術は、ウインドウズNTアドバンスト・サーバーOSにもとついて設計されており、ハードウェアからの独立性に優れたオープンなシステムで、次のような利点をもっている。

まずスケーラビリティ。

扱う連続メディアの必要性に応じて、個人ユーザー、企業や学校、さらには何万人もの利用者がいる大規模な地域システムに至るまで、その規模に関係なく、低価格のコンピュータ構成装置を追加していくことで対応が可能。

また、不具合があった場合、サービスを中断することなくこれを自動的に修正し、再コンフィギュレーションする自己診断機能をもっている。

また、故障箇所を自動的に交換する「ホット・スペア」機能をもたせることもできる。

システムの全機能が回復すると、それを認識し、ダイナミック・ロード・バランシングやシステム全体に渡るデータ格納などシステム・リソースをもっとも有効に駆使することができる。

新ソフトは、テレビ配信会社、電話会社、公益事業、私設ネットワークなどでの利用が期待されているが、ビジネス用のアプリケーションとしては、テレコミューティング(在宅勤務)、映像によるメッセージ伝達、情報ナビゲーション、企業用動画付き衛星サイト・サーバー、プロダクション・スタジオ、ショッピングや電子取引ビジネスのモデル実験など多様な用途が考えられている。

消費者向けのアプリケーションとしては、ビデオ・オン・デマンドをはじめとして、ショッピング、対話型で検索できるテレビ・ガイドであるビデオナビゲーション、対話型で検索できるディレクトリなど用途は広い。






米国では、動画付き衛星サイトの普及が急速に進んでいる。

顧客が動画付き衛星サイト・システムを使う目的はまず差別化の先取りだ。

差別化の本質は「当社の製品・サービスを利用していただくことによって、あなたにメリットが出ますよ」という点にある。

ただ他社製品とデザインが違うとか、機能が違うぐらいでは何ら差別化ではない。

それを使うことによって、確かなメリットが出るというのが差別化のポイントだ。

わが国の例でいえば、宅配会社のサービスを利用すれば、翌日の約束の時間までには必ず荷物を届けてくれる。

これは顧客にとっては大変なメリットだ。

あるいは、ある建材メーカーと取り引きをすると、在庫ゼロでビジネスができる。

これも大変なメリットである。

差別化をすることでメリットを出せば、当然顧客がふえる。

つまり、顧客の囲い込みができる。

顧客がふえると自社は儲かる。

つまり、ここにメリットの共有関係ができあがる。

これが「バリュー・チェーン」と呼ばれているものだが、動画付き衛星サイトはこの創出に絶好の武器となる。

その一例として、米国のある保険会社を挙げよう。

被保険者は、自動車事故などにあうと、一刻も早く保険金を手にしたいのは当然の心理だ。

ところが一般の手続きでは、保険会社に事故の証拠写真や、事故目撃者の証言、警察の事故調書などを取り寄せて送り、査定が終了して保険金が支払われるまでには一週間とか10日かかる。

ある保険会社は、これを動画付き衛星サイト化した。

そして保険代理店が、自動車事故の証拠写真、証言記録、警察の調書などをこのシステムで送ってしまうと、早ければその日のうちに査定が出て、保険金が支払われる。

これは大変な評判を得ている。

カリフォルニア州は、その行政情報システムの中に「キオスク」端末を採り入れた。

自動車の運転免許の更新も、自分でやってくださいというわけである。

また、交通違反の罰金もこの端末に免許証を入れ、払い込めばおしまい。

それどころか、免許証をベースにして健康相談もやってくれる。

これも住民からは非常に便利がられている。

次はむつかしい機器の修理も、ベテランの指導で未熟練者でも簡単にできるという話だ。

ここでは、コンピューターにテレビ・カメラ、それにマイクが重要となる。

画面の一部にはウインドウに動画が出ており、ベテラン技術者がそこで説明を行っている。

画面には修理する部分の図面が表示され、修理担当者はこの図面をベテランと二人でみながら説明を受けることができる。

どうもこの部分を分解しようと思うのだがーといって相談すると、画面のベテラン.エンジニアが図面で指示するとともに、テレビ・カメラで映させた映像をみながら、修理上の注意を与える。

そこの取り外しはあまり力を入れてはいけないといった旦ハ合だ。

まさにパーソン・ツー・パーソンの指導ができる。

共同開発にしても然りだ。

開発の対象物を共通の画面でみながら、必要なら動画で互いに会話をしながら共同で開発を進めていくことができる。

いわゆるグループウェアである。

こうなると先の修理の例では、もはや分厚いマニュアルをひっくり返す必要などまったくなくなる。

新製品が出た時でも、すぐ対応することができる。

このようなメンテナンスへの応用では、DVD-ROM化だけでもかなりの成果をあげることが可能だ。

全日空はジャンボ機など五機種、六種類のエンジンを使っており、整備マニュアルは40種類もある。

中には飛行記録装置(フライト・レコーダー)の作動原理などを説明した「装備品作業基準」など一二万ページにも及ぶものがある。

整備士は、作業のたびにマニュアルで手順を確認するのが大変だった。

そこで同社は、ボーイング767などのマニュアルのうち、取りあえず使用頻度が高いエンジン交換手順などを記した「機体作業基準」(二万ページ)とレーダーなどの「部品図解カタログ」(二万五〇〇〇ページ)をDVD-ROM化した。

DVD-ROMだと必要な情報が瞬時に引き出せるため、出発前に機体にトラブルなどがみつかっても、すぐに必要項目が出てくるため作業効率が上がり、出発遅れを減らせることができる。

好きな曲だけ買える「ブロック・バスターズ」次に米国の「ブロック・バスターズ」というシステムをみてみよう。

これまでのDVD音楽は、店頭に並べてあるDVDを試聴させてくれといっても、そうはいかない。

ビニールのカバーで包装されているからだ。

一方、レコード店のほうは、売れるか売れないかわからないDVDタイトルを大量に在庫しておかなければならないという問題もある。

さらにもっと重要なことは、DVDの中の例えば三曲だけ欲しいというケースもある。

曲名はわからないが口笛で吹けるという曲を探したい場合もある。

そこで、すべてのDVD音楽をプロック・バスターズのセンターのコンピューターに投入しておく。

客は、ブロック・バスターズ加盟店に行くと、曲名がわかっていると自由に試聴できる。

あるいは、適当に聴いた中から好きな曲をみつけることもできる。

これもIBMのマシンで構築されている。

それから、これは実験中だが、どうも題名はわからないがこういった出だしだ、という場合、ある一定の規則に従って音を入力すると、データベースが「この曲ではありませんかり.」と探してくれる。

客が、この曲とこの曲とが欲しいと決まると、その場でデジタル・オーディオ.テープに入れてくれる。

これに関しては、楽譜屋が興味を示している。

何千曲もある楽譜をジャンル別に在庫しておかなければならない。

そこで、客が、自分で弾きたいといえば楽譜が出力されるという「ミュージック・ライター」というサービスも編み出されている。

興味ある例としては、リハビリを要する身障者に対しての動画付き衛星サイトの応用だ。

特に手や体の不自由な人は、とてもキーボードなど打てないし、マウスも使えない。

しかし、何とか歩いて壁にもたれかかるとか、何かに体を押しつけるという動作はできる人もいる。

そこで試験的に作られたのが、巨大なタッチ・パネルだ。

背が届く範囲のタッチ・パネルで、体の不自由な人が、そのでかいタッチ・パネルのディスプレイ上のボタンや映像の一部などを体でどんと押して、それでコンピューターを操作する。

そうすると、パネルがディスプレイに早変わりし、そこに動画などさまざまな情報が表示される。

オブジェクト化されてボタンは、イメージで表示されており、zy8

そのイメージを連続して押すことによって意思を伝えることもできる。

これはイタリアで開発されているものだ。

わが国では日本IBMが1993年秋、ホテルオークラに「結婚式打ち合せ見積もりシステム」を納入している。

これは、いろいろな宴会場での実際の結婚式の様子が説明文つきの動画でみられると同時に、料理や案内状、司会者など他のすべてのものを画面をみながら決めていくというもの。

例えば、司会者選びでは、司会者の司会の様子がウインドウに動画で現われ、司会者の略歴、特徴など司会者側からのメッセージが示される。

むろんそこには出演料も書かれている。

これを眺めて「この司会者は後輩だ」とか「この司会者の声がいい」とか、あるいは「好感がもてるが高すぎる」などとみていくわけである。

このようにして、結婚式に関して打ち合わせすべき項目について、顧客に画面をみながら決めてもらう。

そのすべてが終了すると、ただちに明細付きの見積もりが出てくるという次第だ。

それまでは、ぶ厚い写真帳のようなサンプルを次々とひっくり返しては、それぞれ決めていかなければならなかったから、これは大変な効率化につながる。

一方、顧客も、予算内で満足のいく祝宴を迅速に決めることができる。

みなさん方の周りにも、こういった応用例は、いっぱいあるのではないだろうか。

オリンピック誘致の決め手となった動画付き衛星サイト二〇〇〇年のオリンピックは、最終的には北京をひっくり返してシドニーに決定した。

面白いのは、そのいきさつ。

ここにひとつの外信記事がある。

「本日、国際オリンピック委員会は、オーストラリアのシドニーを西暦二〇〇〇年のオリンピック開催地として認めた」とあり、さらに「そこではIBMが提案した動画付き衛星サイト・テクノロジーが、プレイ・ア・キーロール・イン.ザ・サクセス、つまり誘致成功における決定的な役割を果たした」というのである。

これは、オリンピックの開催地の決定についても、実はその裏では、大会の模様をどう伝達し、記録するかという最新技術のサポートが大きな決め手になっていることを物語っている。

この際の北京の提案は、従来通りの衛星を使った画像の通信にすぎなかった。

もうひとつ手を挙げていたベルリンは、アナログのレーザー・ディスクにさまざまな場面を収録、検索できるようにしておき、それはあとで加工、商品化ができると提案した。

シドニーは、これは実際は米アンダーセン社が行ったことだが、IBMの動画付き衛星サイト・システムを全面的に使い、放送と同時に、それに付随するさまざまな情報を流す。

多彩な動画付き衛星サイト報道、解説、記録システムを採用しようというわけだ。

実はこのアンダーセン社の動画付き衛星サイトがらみの提案が、シドニーに決定する際の決め手になったといわれている。


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