動画付き衛星サイト

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米国では、動画付き衛星サイトの普及が急速に進んでいる。

顧客が動画付き衛星サイト・システムを使う目的はまず差別化の先取りだ。

差別化の本質は「当社の製品・サービスを利用していただくことによって、あなたにメリットが出ますよ」という点にある。

ただ他社製品とデザインが違うとか、機能が違うぐらいでは何ら差別化ではない。

それを使うことによって、確かなメリットが出るというのが差別化のポイントだ。

わが国の例でいえば、宅配会社のサービスを利用すれば、翌日の約束の時間までには必ず荷物を届けてくれる。

これは顧客にとっては大変なメリットだ。

あるいは、ある建材メーカーと取り引きをすると、在庫ゼロでビジネスができる。

これも大変なメリットである。

差別化をすることでメリットを出せば、当然顧客がふえる。

つまり、顧客の囲い込みができる。

顧客がふえると自社は儲かる。

つまり、ここにメリットの共有関係ができあがる。

これが「バリュー・チェーン」と呼ばれているものだが、動画付き衛星サイトはこの創出に絶好の武器となる。

その一例として、米国のある保険会社を挙げよう。

被保険者は、自動車事故などにあうと、一刻も早く保険金を手にしたいのは当然の心理だ。

ところが一般の手続きでは、保険会社に事故の証拠写真や、事故目撃者の証言、警察の事故調書などを取り寄せて送り、査定が終了して保険金が支払われるまでには一週間とか10日かかる。

ある保険会社は、これを動画付き衛星サイト化した。

そして保険代理店が、自動車事故の証拠写真、証言記録、警察の調書などをこのシステムで送ってしまうと、早ければその日のうちに査定が出て、保険金が支払われる。

これは大変な評判を得ている。

カリフォルニア州は、その行政情報システムの中に「キオスク」端末を採り入れた。

自動車の運転免許の更新も、自分でやってくださいというわけである。

また、交通違反の罰金もこの端末に免許証を入れ、払い込めばおしまい。

それどころか、免許証をベースにして健康相談もやってくれる。

これも住民からは非常に便利がられている。

次はむつかしい機器の修理も、ベテランの指導で未熟練者でも簡単にできるという話だ。

ここでは、コンピューターにテレビ・カメラ、それにマイクが重要となる。

画面の一部にはウインドウに動画が出ており、ベテラン技術者がそこで説明を行っている。

画面には修理する部分の図面が表示され、修理担当者はこの図面をベテランと二人でみながら説明を受けることができる。

どうもこの部分を分解しようと思うのだがーといって相談すると、画面のベテラン.エンジニアが図面で指示するとともに、テレビ・カメラで映させた映像をみながら、修理上の注意を与える。

そこの取り外しはあまり力を入れてはいけないといった旦ハ合だ。

まさにパーソン・ツー・パーソンの指導ができる。

共同開発にしても然りだ。

開発の対象物を共通の画面でみながら、必要なら動画で互いに会話をしながら共同で開発を進めていくことができる。

いわゆるグループウェアである。

こうなると先の修理の例では、もはや分厚いマニュアルをひっくり返す必要などまったくなくなる。

新製品が出た時でも、すぐ対応することができる。

このようなメンテナンスへの応用では、DVD-ROM化だけでもかなりの成果をあげることが可能だ。

全日空はジャンボ機など五機種、六種類のエンジンを使っており、整備マニュアルは40種類もある。

中には飛行記録装置(フライト・レコーダー)の作動原理などを説明した「装備品作業基準」など一二万ページにも及ぶものがある。

整備士は、作業のたびにマニュアルで手順を確認するのが大変だった。

そこで同社は、ボーイング767などのマニュアルのうち、取りあえず使用頻度が高いエンジン交換手順などを記した「機体作業基準」(二万ページ)とレーダーなどの「部品図解カタログ」(二万五〇〇〇ページ)をDVD-ROM化した。

DVD-ROMだと必要な情報が瞬時に引き出せるため、出発前に機体にトラブルなどがみつかっても、すぐに必要項目が出てくるため作業効率が上がり、出発遅れを減らせることができる。

好きな曲だけ買える「ブロック・バスターズ」次に米国の「ブロック・バスターズ」というシステムをみてみよう。

これまでのDVD音楽は、店頭に並べてあるDVDを試聴させてくれといっても、そうはいかない。

ビニールのカバーで包装されているからだ。

一方、レコード店のほうは、売れるか売れないかわからないDVDタイトルを大量に在庫しておかなければならないという問題もある。

さらにもっと重要なことは、DVDの中の例えば三曲だけ欲しいというケースもある。

曲名はわからないが口笛で吹けるという曲を探したい場合もある。

そこで、すべてのDVD音楽をプロック・バスターズのセンターのコンピューターに投入しておく。

客は、ブロック・バスターズ加盟店に行くと、曲名がわかっていると自由に試聴できる。

あるいは、適当に聴いた中から好きな曲をみつけることもできる。

これもIBMのマシンで構築されている。

それから、これは実験中だが、どうも題名はわからないがこういった出だしだ、という場合、ある一定の規則に従って音を入力すると、データベースが「この曲ではありませんかり.」と探してくれる。

客が、この曲とこの曲とが欲しいと決まると、その場でデジタル・オーディオ.テープに入れてくれる。

これに関しては、楽譜屋が興味を示している。

何千曲もある楽譜をジャンル別に在庫しておかなければならない。

そこで、客が、自分で弾きたいといえば楽譜が出力されるという「ミュージック・ライター」というサービスも編み出されている。

興味ある例としては、リハビリを要する身障者に対しての動画付き衛星サイトの応用だ。

特に手や体の不自由な人は、とてもキーボードなど打てないし、マウスも使えない。

しかし、何とか歩いて壁にもたれかかるとか、何かに体を押しつけるという動作はできる人もいる。

そこで試験的に作られたのが、巨大なタッチ・パネルだ。

背が届く範囲のタッチ・パネルで、体の不自由な人が、そのでかいタッチ・パネルのディスプレイ上のボタンや映像の一部などを体でどんと押して、それでコンピューターを操作する。

そうすると、パネルがディスプレイに早変わりし、そこに動画などさまざまな情報が表示される。

オブジェクト化されてボタンは、イメージで表示されており、zy8

そのイメージを連続して押すことによって意思を伝えることもできる。

これはイタリアで開発されているものだ。

わが国では日本IBMが1993年秋、ホテルオークラに「結婚式打ち合せ見積もりシステム」を納入している。

これは、いろいろな宴会場での実際の結婚式の様子が説明文つきの動画でみられると同時に、料理や案内状、司会者など他のすべてのものを画面をみながら決めていくというもの。

例えば、司会者選びでは、司会者の司会の様子がウインドウに動画で現われ、司会者の略歴、特徴など司会者側からのメッセージが示される。

むろんそこには出演料も書かれている。

これを眺めて「この司会者は後輩だ」とか「この司会者の声がいい」とか、あるいは「好感がもてるが高すぎる」などとみていくわけである。

このようにして、結婚式に関して打ち合わせすべき項目について、顧客に画面をみながら決めてもらう。

そのすべてが終了すると、ただちに明細付きの見積もりが出てくるという次第だ。

それまでは、ぶ厚い写真帳のようなサンプルを次々とひっくり返しては、それぞれ決めていかなければならなかったから、これは大変な効率化につながる。

一方、顧客も、予算内で満足のいく祝宴を迅速に決めることができる。

みなさん方の周りにも、こういった応用例は、いっぱいあるのではないだろうか。

オリンピック誘致の決め手となった動画付き衛星サイト二〇〇〇年のオリンピックは、最終的には北京をひっくり返してシドニーに決定した。

面白いのは、そのいきさつ。

ここにひとつの外信記事がある。

「本日、国際オリンピック委員会は、オーストラリアのシドニーを西暦二〇〇〇年のオリンピック開催地として認めた」とあり、さらに「そこではIBMが提案した動画付き衛星サイト・テクノロジーが、プレイ・ア・キーロール・イン.ザ・サクセス、つまり誘致成功における決定的な役割を果たした」というのである。

これは、オリンピックの開催地の決定についても、実はその裏では、大会の模様をどう伝達し、記録するかという最新技術のサポートが大きな決め手になっていることを物語っている。

この際の北京の提案は、従来通りの衛星を使った画像の通信にすぎなかった。

もうひとつ手を挙げていたベルリンは、アナログのレーザー・ディスクにさまざまな場面を収録、検索できるようにしておき、それはあとで加工、商品化ができると提案した。

シドニーは、これは実際は米アンダーセン社が行ったことだが、IBMの動画付き衛星サイト・システムを全面的に使い、放送と同時に、それに付随するさまざまな情報を流す。

多彩な動画付き衛星サイト報道、解説、記録システムを採用しようというわけだ。

実はこのアンダーセン社の動画付き衛星サイトがらみの提案が、シドニーに決定する際の決め手になったといわれている。


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このページは、東京が2011年5月 8日 23:27に書いたブログ記事です。

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