すべての人に顔を向けた文章は、特定の誰ひとりの胸にも、すっと入ってゆかないのです。
なぜ、大新聞の「社説」が面白くないのでしょうか。
知的興味の対象にならないのでしょうか。
書く人に能力がないわけではありません。
「現実」は複雑なものが絡まりあっています。
その「複雑体」を、瞬時に、丸ごとつかみ取ることができないからこそ、書くのです。
そのために、その「複雑体」をさまざまな角度から、切ってみるのです。
「現実」の核心に到達する「切り方」に、どう到達するのか、それが問題になりますね。
どの切り方がいいのか、あらかじめ決めるやり方はありません。
出来るのは、全面否定と、全面肯定の立場に立って、考え抜き、書き抜く、といういき方です。
これは、大新聞と対立するいき方です。
だれの目も考慮しない、ストレートなやり方です。
このようないき方を、ラジカリズム、思考の急進主義といいます。
実験的思考です。
与えられた問題を、全面否定と、全面肯定という両極端のいき方でシミュレーションして見ると、問題の所在が見えやすくなります。
しかし、これは、あくまで、仮説的な思考実験です。
この点を忘れてはいけません。
例えば、「成田国際空港建設反対闘争」問題です。
この問題には、歴史的に蓄積されたさまざまな問題が絡まっています。
しかし、両極端の結論に立って、問題を定式化してみましょう。
A「賛成」
「個人の生命と財産は、何人といえども侵すことの出来ない基本的人権である。父祖伝来の土地を手放さないという農民たちの意志を、国家でさえ、否、国家こそが、侵犯してはならないのだ」
B「反対」
「人間は社会的な存在だ。自分1人だけでは生きてゆけない。それが個人にとってどんな不都合なことであっても、避けられない問題はあるのだ。いかなる空港も不要だ、という立場に立たないかぎり、成田の農民たちの行動は、容認できない」
AとBとの立場は、あい入れません。
日本人全員が、Aの立場で徹底したら、社会的生活は立ちゆきません。
Bの立場で徹底したら、個人の生き方が国家に吸収されてしまいます。
したがって、この問題は、個人主義と国家主義とのぎりぎりの接点を行き来する、極めてラディカルな問題である、ということがわかります。つまり、問題の「論理的解決」はないということです。リライト専門家によると、問題の「現実的解決」は、したがって、「問題」そのものをまったく白紙に戻すか、「妥協」するしかない、ということになるのです。「問題の解決」は、どのような形であれ、つねに、両極端の「中間」にあります。
そのことを前提した上で、思考実験として、極論を敢えて構える必要はあるのです。
リライトの最近のブログ記事
リライト担当者 「未来技術の夢を語る」ということでお話を進めていただこうと思います。
問題は、ハイテクノロジーとかいろいろな形でいろいろな言葉は出てきておりますし、またいろいろな具体的な物というものも出てきているわけですが、いちばん肝心なことは、それをどのようにこれから展開していくのか、どういうイメージをもって進めたらいいのかということで、できればただ夢を語っていただくだけでなく、夢をものにしていくにはどうするのかということへお話をだんだん向けさせていただこうと思います。
最初に、夢の未来技術といわれるようなものの分野というのはどういう分野なのだろうか、どんなふうにイメージされるかというようなところを手短に、まずSEO担当者Yさん、そして衛星サイト運営者Sさんという順序でお話いただいて、最後に代筆担当者Aさんにお話をいただいて、具体的にお話を掘り下げていくということにしたいと思います。
それではSEO担当者Yさん、よろしくお願いいたします。
SEO担当者Y 私、ひとつ思いますのは、いま、未来の夢といいますか、夢の未来技術といいますか、それを考えるときに、日本ということを前提に置かなければならないんじゃないかなと。
かなりこれからの技術というのは国民性とからんだところで出てくる。
たとえば、アメリカですと、非常にパイオニア的な、スペースコロニーとかスペースラボをやろうというところでコンセンサスができやすいし、必ず軍事というものが裏側にないとコンセンサスはできないわけですが、日本の場合には、民生という一つの枠組みがある。
ですから開拓者的な宇宙を制圧しようという、そういうものはあまりうけないだろうと思います。
いま基礎研究でみなさんがやっておられること、それから開発関係の方がやっておられることを総合しますとこういうことがいえるのではないかと思います。
大別して材料問題、コンピュータ・通信問題、それからライフサイエンス、こういう三つの極がいわゆるハイテクにあると思います。
それがそのままどんどん伸びていくこと、これはまず間違いない。
しかしそれがある程度伸びたとき、いまから二、三年先あたりから、おそらく新しい分野がでてくるであろう。
というのは、この三つの分野が全部一部分に、生物といいますか、生命に向かった部分をもっているわけですね。
材料にしろ、たとえば生体となじむ材料をつくろう―高分子もそうです。
セラミックスでいいますと歯の材料とか、みんなそういう生物にむいている局面があります。
そういうものが融合された分野、生物とか物質とかいうものが混ざり合った新しい分野、ある意味では大変人間くさい分野だと思いますけれども、そういった分野が出てくるのではないかというふうに推察されます。
リライト担当者 次に、衛星サイト運営者Sさんお願いします。
衛星サイト運営者S いまSEO担当者Y先生から、先端技術をだいたい三つぐらいに分けて考えていらっしゃるというお話がございましたけれども、私もだいたいそれに賛成でございます。
先ほどはライフサイエンスとおっしゃいましたが、バイオテクノロジーという言葉が大変はやっております。
これにはいろいろ問題はあると思いますけれども、注目して間違いないと思います。
それに、最初におっしゃった材料ですね、これはよくエキゾチックマテリアルスなんていう言葉を使いますけれども、とにかく宇宙開発、海洋開発、それから民生についても原子力その他、いろいろな科学技術が進んでいくと、非常にその極限の条件に耐えるような材料、それからいろいろな機能性をもった材料というのが求められますから、そういった要請に対応する材料開発というのはやはり先端技術の一つの柱になるだろう。
また先ほど、コンピュータとコミュニケーション、通信技術というふうにおっしゃいましたけれども、エレクトロニクスというふうに非常に大ざっぱなくくり方もあるのではないか、このエレクトロニクスの中にはメカトロニクスというようなジャンルのものだとか、さらに、いま注目されているオプトエレクトロニクスというようなジャンルも当然入ってくるだろうと思います。
もう一つ、やはりこういった技術を支えるものとして、エネルギー技術というのが大きく注目されるのではないかと思うんです。
いまエネルギーといいますと、だいたい主として電気が使われておりまして、この電気を何によって得るかというエネルギー資源の問題が大変大きく取り上げられているわけです。
いま石油がだいたい半分弱ぐらい、原子力が二〇%ぐらいですけれども、こういった石油にしても原子力にしても石炭にしても、これから先ある程度限りがあるとすれぽ、新しいエネルギー資源をどこに求めるか、その技術開発をどうするかというのは、やはり大きな二十一世紀に向かっての課題ではないかと思います。
そういう意味で注目されるエネルギーとしては、太陽とか水素とかいったものが考えられますが、そういったエネルギー技術、つまり、エレクトロニクス、エネルギー、エキゾチックマテリアルスという三つのEと、バイオテクノロジー―一つのB、この四つが先端技術の柱になるのではないかというふうに、私は思っております。
それからもう一つ、たまたま私はある科学技術番組に関係しておりますが、その科学技術番組の中で、専門家の方五〇人ぐらいにアンケートをとったことがございます。
これから注目される科学技術は何だろうか、その中でベスト一〇をつくってみたんですが、ここではベスト三だけをご紹介させていただきます。
一つは、いまオプトエレクトロニクスというふうに申し上げましたけれども、これからはやはりINSだとか、いろいろなニューメディアだとか、いわゆる通信の技術が非常に大きく注目されるわけです。
その新しい通信技術を実現させるためにもっとも重要な技術というのは光通信の技術だというふうにいわれています。
その光通信というのは、ご承知のように、レーザーと光ファイバーという発光体と導線、つまり通信を送る線が必要なんですが、この光ファイバーの技術というのがベスト三のなんとトップにあげられました。
第二番目は、実はここにいらっしゃる代筆担当者A の発明された静電誘導トランジスタ(SID)が、これは一種の半導体ですけれども、この半導体技術がそのアンケートの中では第二位に選ばれております。
第三位に選ばれましたのが、これもやはり代筆担当者A と同じく、東北大学の教授でいらっしゃる岩崎先生がお考えになりました磁気記録の新しいシステム。
つまり、いままでの磁気記録というのは横に記録をさせていたんですけれども、それを垂直に記録させるという垂直磁気記録方式というのがあるんです。
これが未来技術の第三番目にランクされたということなんです。
リライト担当者 それでは、次に代筆担当者A 、お願いいたします。
●分子電子工学の道
代筆担当者A 私どものように現実的なことをやっておりますと、あまり夢を見ることができないのですが、やはりいままでの技術の延長線上ということからいいますと、いまお話に出ましたところの鎗一番口、つまり光通信技術の発想が出てくるわけです。
簡単にいえばあまり知恵のない発想だということになるわけです。
ただ大きなポイントといたしましては、情報関係の伝達ということから中しますと、通信線路が果たして十分なのか、いつまでいまのままでもちこたえるかということがあるわけです。
逆に別ないい方をいたしますと、電磁波と光というものの問はまだ大変広いギャップがあいているということであります。
たとえぽ、いま一〇〇ギガヘルツぐらいまでのところは、ようやく使いこなせるところまでまいりましたけれども、もう少し高い周波数のところを使うことはできないわけですね。
つまり、増幅発信という手だてが、一〇〇ギガヘルッちょっと上のほうになってまいりますと確立されていないという、非常に平凡なところに大きな穴があるのではないかという気がいたします。
だいたい光でいえば一〇〇テラヘルツぐらいから上のほうは一応技術がでているわけで、またその上のほうにも一つ穴がありますが、とにかく、とりあえずはもっと短い波長、つまり紫外線をコヒーレソトで出せるかという問題も次の問題として出てくるわけです。
われわれ通信屋といたしましては、やはりそういう周波数を人閥社会のために役に立てていくということが、まず一つの技術屋としての責任ではないかという気がするわけです。
先日度お話が合った光通信をより有効に使うということが、まだできてはいませんね。
つまり、光の波長を変調させる波のほうが、まだ十分にできていない。
もっと高速度変調してもいいわけです。
もちろんいまのファイバーの中でそれをやったら、位相ずれが起こって伝達できなくなってしまう危険性が十分あるわけですから、そういう技術を確立しながら、せっかくの一本のファイバーというものを十分に生かして使うということを可能にしていくということが、技術屋としてのひとつの責任ではないかという気がいたします。
そうすればいまのファイバー、もちろんそのままではいけないわけですが、千倍以上のチャンネルを中に入れることができるわけです。
いいかえますと、われおれがいまだに憂き身をやつしております超高速度のスイッチング・トランジスタということがあるわけですが、そういう高い周波数で動くトランジスタをつくるということに一致するわけです。
これはやはりこれからのひとつの大きな実用的なターゲットと考え得るわけです。
実はこういう周波数範囲というのは、ある意味ではいわゆる光化学という分野の応用をもっているわけです。
光で化学反応を起こすということは、昔からよくわかっている自然現象の中にもそれはたくさんあるわけですけれども、人間が本当にそれを十分に生かして使ってきたかというと、実はほとんど使っていなかったんだということがいえるのではないかという気がいたします。
先ほど申しましたようなそういう周波数帯で使えるディバイスを開発するということは、いいかえれば、そういう化学反応をコントロールする手段を人間が手に入れるということになるわけです。
ちょっと変わった表現になると思いますけれども、私ども通信屋といたしましては、やはり一〇〇ギガへルツから上のほう、「○○テラヘルツまでの間を人間が使えるようにするということが、私にとっての夢の未来技術でございます。
もう少し敷衛して申し上げさせていただきますと、スイッチング・トランジスタをつくろうということですけれども、その一つの手段として、アメリカあるいはあちこちの研究所でやっていますモリキュラビーム・エピタキシド、つまり蒸着ですが、そういう技術を使って非常に薄い層の制御ができるようにしていくというのが基本技術です。
われわれのほうですと、モリキュラベア・エピタキシドと称しておりまして、化学反応で一層ずつ積み重ねていくという手だてを、どうやら確立できそうだというところまできております。
こういうような技術ができれば、そういう非常に超高速度で動くディバイスの工業化ということがいよいよ可能になってくるのでありましょうし、いいかえますと、初めて量子力学を使った工学というものが可能になるのではないか。
簡単にいえば、要するに非常に早いスイッチング・スピードをもったトランジスタ、それからそういう周波数帯の活刑、三番目がいわゆるフォトケミストリー、四番目が簡単メカニカル・ディバイスというようなことをいま申し上げたつもりでございます。
さらに、それより先に進んでまいりますと、一つの分子の性質を生かして使うというーいわゆる分子電子工学という言葉をわれわれ二〇年来使っているわけでございまして、このごろ、七、八年前にアメリカのだれかがいちばん最初に使ったんだ、などという人を見うけますが、私としては二〇年前ぐらいから使っていたつもりです―最終的には分子一つひとつの性質を生かして役に立てることにつながっていくのではないか、これが私の夢見ております未来技術でございます。
2ハイテク時代の産業
●二十一世紀は生物の時代
リライト担当者 ただいまは分野とか、どういうものだとかいうお話をしていただいたわけですけれども、そういうものを手の中に入れていくためにはどんなことをしなければいけないのか、どんな勉強をしなければいけないのか、どんな研究をしていかなければいけないのか。
それから経営の立場からいうと、細かいことはわからないけれども、どんなふうにそれを受け取っていけばいいんだろう、どんなイメージとしてもっていればいいんだろうかという、そういう話にこれからすこしさせていただこうと思います。
またSEO担当者Yさんからお願いいたします。
SEO担当者Y 結局は技術と商売の話というのが今日の中心だと思いますが、実は商売の種はたくさん出てくるだろうと思います。
いま代筆担当者A がおっしゃったなかからでもおそらく商売はたくさん出てくると思います。
そういったなかで、さっき私が申しましたのは、おそらくハイテクというものの中に三つ、または衛星サイト運営者Sさんがおっしゃった四つくらい極があって、おのおのの極はそれが混じってくる方向を指している。
この中の一つとして、いま代筆担当者A がおっしゃいました分子レベルの組織が将来できるかもしれない。
実は先生のいまおやりになっているフォトエピタキシーという技術は、まさに分子レベルの半導体素子をおつくりになる基礎技術がほぼできかかっておりまして、近い将来そういう素子ができるかと思いますが、分子の大きさで素子をつくろう。
そうすると生物というのは、分子の大きさの素子の集まりなわけです。
ここで生物と物質の世界に接点ができるだろうと私は思います。
いままでの物質科学が生物科学屋さんと言葉が通じるようになる。
たとえばコンピュータ屋さんが生物を非常にしなやかに制御できるようになるとか、はじめてそこで、いままで全然別のジャンルだと思われた物質工学といいますか、物質の商売といいますか、それから生物からみの商売へつながる接点がそこへ出てくる。
もう少し簡単に申し上げますと、薬屋さんの隣はコンピュータ屋さんかもしれないということが起こる。
いま大きなコンピュータ会社が基礎研究所をたくさんつくっておりまして、必ずその中へ生物のグループをおもちになっております。
これは生物を勉強されてコンピュータの役に立てようということですが、ひょっとすると何々コンピュータ会祉が老化防止の薬を出すかもしれないというようなことが起こってくるだろうと思います。
実際どういうプロセスでそこまで進むかというと、いま代筆担当者A のお話のように、分子レベルで物のつくり方とか素子のつくり方というのを制御していく、これは非常に進むんだろうと思います。
これは生物の方からも進みますし、半導体とか材料の方からも進みます。
これは日本におそらく非常になじんだ技術だろうというふうに思います。
宇宙とかそういうジャンルとまた違ったものですけれども、たとえば生物の方で発酵工業というベースがあるとか、半導体は日本が強いとか、もろもろのバックグラウンドが、日本がそこが強くなることを指している。
分子レベルで物を制御するということが非常に重要になってくる。
これはおそらく国民的なコンセンスができてくるだろうと思います。
<a style="color:#333; text-decoration:none; font-weight:normal;" href="http://yokohamas.jp/eisei" target="_blank">衛星サイト</a>運営者S いまSEO担当者Y先生のおっしゃった先端技術の境界がなくなっていくだろうというのはまさにそのとおりだと思います。
たとえば、生物、バイオテクノロジーの方から見ていっても、いまおっしゃったとおりだろうと思うんですね。
いまコンピュータのこれからの進路を考えるとき、二つの大きな方向が考えられています。
一つは、いわゆるスーパーコンピュータの方向、つまりできるだけ強い演算素子をもったような高速のコンピュータをつくろうというもの。
これはアメリカのクレイという人、一種のベンチャービジネスマンみたいな人なんですけれども、それこそ手作りでつくったのがスーパーコンピュータの第一号機といわれていますが、これが意外に成功して数十台が売れたものですから、各社がその開発に手を出して、いまアメリカで四社、日本で三社がこのスーパーコンピュータの開発に従事しているようです。
日本では、富士通、日電、日立の三社がスーパーコンピュータの開発をしていますが、日本はいわゆる大企業といわれるところがかなりの力を入れて開発をしている。
そういった成果が、後発ではありますけれども現れまして、いまは世界最高速のスーパーコンピュータはむしろ日本製だということになりつつあるようです。
もう一つは、コンピュータの知能化、人工知能化というんでしょうか、日本では第五世代のコンピュータといっておりますけれども、そういったなるべく人間の脳の補助をするような機械をつくろうとする動きがあります。
つまりいままでのコンピュータはいくら進んだコンピュータであっても、やはりコンピュータの言葉でないと理解することができなかったし、完全なデータと情報を入れてやらないと答を出すことができなかった。
そのうえ、必ず一度にできる情報処理は一つだけで、並列的にいくつかの情報を処理するなんていうことは絶対にできなかった。
これに対して、人間の脳というのは一時にとにかくいろいろなことを並列的に処理することができるわけですけれども、そういった並列処理ができるコンピュータをつくろう。
そうすれば人間の脳の情報処理の仕方に一歩でも近づくことができるだろうというのが、第五世代のコンピュータの一つの基本的な発想なわけですけれども、このコンピュータの開発というのがやはり世界各国のひとつの大きなターゲットになっているわけです。
日本では一九八一年に第五世代のコンピュータに本格的に取りかかるという宣言をして、一九九一年までにはこのプロットタイプをつくるということで、いまアイコットという組織が一生懸命その開発に従事しているわけですね。
もし一九九一年までにそのプロットタイプができるとすれば、第五世代のコンピュータという人工知能の面でも日本の技術開発というのが世界のトップを切る可能性があるというように期待されているわけです。
この第五世代のコンピュータひとつをとってみても、もういまや非常に生物に近い機械といいますか、生物に学ぶところが非常に大きい機械でもありますし、その意味でも、機械と生物の間がだんだん縮まっていくだろう。
今度は逆にバイオテクノロジーのほうから入ってきても、バイナテクノロジーの成果というのはいろいろな応用が考えられていて、いまはすでにインシュリンだとかインターフェロンだとかいったような医薬品から、植物の品種改良、動物の品種改良といったようなものにまで応用が始まっておりますけれども、これがさらに進みますと、たとえば生物はご承知のように、先ほどの分子という面でいえば当然高分子からできている。
高分子の中でもとくに蚤自質からできているわけですから、微生物などを非常に大量に培養する。
この微生物培養という技術は日本が、先ほどSEO担当者Y先生がおっしゃったように、発酵技術というのをもともともっていましたから大変進んでいるわけで、この微生物の培養技術といまのパイナテクノロジーをうまく併用して使うと、たとえば非常にいい性質をもった蛋白質を大量につくり出すというような技術が可能になってくるわけですね。
そうすると、蛋白質ないしは高分子を使うことによって、いままでは石炭とか石油などからしかつくることができなかったような石油化学製品だとか石炭化学製品、つまりプラスチック、合成繊維というようなものがほとんど微生物資源でできるようになるのではないか。
そうすれぽ石炭や石油を資源として使わないで微生物を資源として使ったような高分子化学、ないしは合成繊維産業などが生まれてくるかもしれない。
そういった意味で二十一世紀は、ある見方をすると微生物の時代、ないしは生物の時代ではないかというように予言することもできるのではないかと思います。
たしかに技術のベストミックスというようなものが図れるか否かというのが、これからの先端技術を生かす上で非常に大切な尋47えではないかというふうに思います。
●超高精度の世界
リライト担当者 いろいろな企業の研究所などを私ども見せていただくわけですが、ひところは、物を測るときの単位として何ミリというような言葉を聞くと、非常に驚いたという時代がありました。
最近では半導体やセラミックスなどの世界ではサブミクロンという、コンマがついたミクロンという単位を耳にするようになりました。
また時間的にもピコとかナノとかいう非常に短い時間が問題になってきているわけで、つまり、未来技術というものは、長さの単位や精度、さらには時間短縮などに大きな特徴があるなということを痛感しているわけです。
そこで代筆担当者A に、サブミクロンというようなレベルというもので、具体的にお話をうかがいたいと思うわけです......。
代筆担当者A 私どもの研究室では現在オングストローム精度といっているわけですが、最近さらに技術がよくなりまして大体四分の一ぐらいの大きさになってしまった。
このへんになりますと、やはりサブ、、、クロンということはどうしても欠かせない技術になってくるだろうという気がいたします。
やはり精度をちゃんと出すということのバックが、いままでの半導体工学の非常に大きなエポックメイキングなところでありまして、あまり世の中にはいわれていないので、とくに私はそこだけ強調して申し上げていることが多いわけですが、デフェクトが大体それぐらいの寸法をもっているわけです。
ですからデフェクトフリーの技術ということが、実は半導体工業が今日になったべースなのだということを申し上げたいわけです。
つまり、いままではデフェクトフリーの技術ということがいろいろありましたけれども、とにかく人間がこれほどデフェクトフリーの技術を手にしたということは歴史始まって以来ないんだということを申し上げさせていただきたいと思います。
また私どものほうでは分子が一つ付く、二つ付くということを対象にどうやらコントロールができそうだということを去年の夏に手がかりをつかみまして、その時点で余分な技術を全部切り離しました。
とにかくそれにいちずにかけてみたわけです。
どうやら付帯する技術が全部、大体フォトアシステッド・モリキュラルエアエピタキシでうまくいきそうだという日鼻がついてまいりました。
そういう意味では、この厚み方向についてはオングストローム精度というものがどうやら工業対象になるんではないかというところまでは押してこれたわけです。
しかし、どうもフォトアシステッド・モリキュラルエアエピタキシをやったということも、実はお金がないという苦しまぎれから出発したことですけれども、結果はどうも案外いいところを狙ったんじゃないかなということを感じているわけです。
こういう非常に高精度のもの、しかも無欠陥のものを考えようと思えぽ温度を上げるということは絶対にタブーです。
なるべく温度を上げないでやらなければいけない。
最近では、うちではガリウムひ素の結晶をつくるときに、だいたい二九〇度で非常に完全性の高い結晶ができつつあるわけです。
むしろ温度を上げるとかえってだめになってしまうわけです。
そういうことから申しますと、どういうことでサブミクロンレベルあるいはそれ以上の精度をかせぐかというと、どうも私たちのひとつ得たソリューションはやはり光効果だろうというふうに感ずるわけです。
どうやら次の峠がひとつ見えてまいりました。
そういう本質的なことを調べてまいりましたら、どうも二次元的にも非常に簡単なやり方で、たとえばここにだけこの分子をピタリと一っ付けてやる、ここに二っだけ付けてやりたいということがどうもできそうだというふうな感じをつかんでおります。
ですから、これはけっして私たちのソリューションがオールマイティだと思っておるわけではありませんし、それ以外にもっと優れた方法がたくさんあるということは考えておりますけれども、二次元的にもどうやら分子精度の、むしろオングストローム精度のものをつくる―コントロールできる、つまり工業化するための川件がひとつの方法で見つかったんではないかというふうに感じております。
3ハイテクの発展を阻む日本的要因
●いかにビジネス・チャンスをつくるかが鍵
リライト担当者 非常に今口の技術核心に触れるお話をしていただきましたが、お感じになったことを出していただけたらと思いますが......
SEO担当者Y 代筆担当者A とは、私、二二、三年になりますか、ある意味では裏方をさせていただきまして、先生の苦闘をこの二〇年間拝見してまいったわけです。
分子レベルの技術は、今後とも出てくるんだろうと思うんです。
しかし、実は技術として生きないでそこで死んでしまうものが大変に多い。
代筆担当者A の闘いというのはまさにそこにあったと思います。
どうやって企業レベルでそれを伸ばすようにしていくかというのが、日本はある意味では不得手だった。
最近科学技術研究が独創的であるとかないとかいうことが云々されますけれども、もう一つ研究開発の問題よりも大きな日本の問題というのは、ビジネス・チャンスといいますか、企業をどうやってつくるか。
ネタはあるが、どうやって企業ビジネスにするかというところが非常に下手だったように思います。
どっちかというと日本社会というのは、新しいそういうビジネスをつくることに創造的でなかった。
それが逆にいって研究開発を立ち消えさせてしまった問題が多いんではないか。
むしろ、分子レベルの詳しいことはわかっていなくてもいいんですが、どういう商売がそこから成り立つかという発想が私どもには必要なのではないかと思います。
衛星サイト運営者S いま大変感じ入って伺っていたんですが、SEO担当者Y先生のところでは、代筆担当者A の完全結品プロジェクトをはじめとして七つの創造科学技術の推進をやってらっしゃるわけですね。
その中には、先ほど申し上げたようなバイオテクノロジーの関連もありますけれども、企業と非常にうまく結びついて開発もよく進んでいる一つの例として、私は超微粒子のプロジェクト―日本真空技術という会社がやっているーがあると思うのです。
この超微粒子というのは、オングストロームオーダーまではいかないかもしれませんが、もう少しそれよりもミクロの単位ぐらいの大きさの粒にすることによって、"物"自身のもっている物性が非常に普段のものと違ってくるから、その新しい物性を利用して材料をつくろうという技術で、たとえていえば、アルミニウムの一円玉を超微粒子にすると、その表面積がだいたい二〇〇平方メーター、ちょうどテニスコートぐらいの広さになるそうです。
要するに表面積が非常に大きくなるという一つの例ですが、表面積を大きくすると、外気、たとえば酸素との触れ合いが非常に大きくなりますから、非常に反応性の高い金属ができるとか、それからそういう超微粒子で何か物をつくるとすれば表面加工が非常にきれいになって表面の非常になめらかな道具がでぎるとか、それからそういうものを研磨剤なんかに使うと非常に優れた研磨剤ができるとかということで、いまこの超微粒子というのは大変注目されている材料の一つなわけです。
そういう材料技術というのが真空をつくるという技術にづまくドッキングして、企業としても、それから独創的な研究としてもなにかうまくいったわけです。
そのへんの目のつけ方みたいなものが、これからの日木にとっては非常に大事なところではないかと思うわけです。
そういう意味で基礎技術というものに対する目をどのようにもっているか、つまり先端技術ないしはハイテクといわれるようなものの動向みたいなものに、どう食指を伸ばしていくかということが企業としての一つの条件になってくるのではないかと思うんです。
企業と基礎研究との関連で、もう一っ最近気になることは、日本は、先ほどからのお話にもありましたように、どちらかというと基礎研究はあまり得手ではなかった。
どちらかというと、同じ大学なら大学の研究機関を比べてみても、日本の大学よりはアメリカの大学、ヨーロッパの大学のほうが、基礎研究に関しては進んでいる。
いまのように日本の企業が大変余裕が出てきて、墓礎研究が大事だという風潮が出てくるのはいいんですけれども、むしろ日本の大学に研究投資をするよりも、アメリカの大学に研究投資をするほうが早いのではないかというようなことで、かなりいま基礎研究の開発費がアメリカの大学に流れているという。
たとえばマサチューセッツ工科大学は年間に三〇億とかいう研究費が日本からいっているという噂を聞きますね。
こういうような形がいいのかどうかというのは非常に問題だと思うのです。
ですから、これはたとえば日本の国立大学になりますと、代筆担当者A に伺わなければいけないのですが―大変法律的にもいろいろ縛られておりまして、産学協同などは非常にやりにくいシステムになつております。
最近文部省でもそのへんを考え直しまして、かなり寄付のあり方や体制を変えてきつつありますけれども、そういった基礎研究の機関と、実際に開発をなさり、それから商品をつくる企業との間の連携プレイというものがうまくいかないと、独創的な研究、しかもそれを生かした製品というのはできてこないという気がするんです。
4わが国でも先端技術の芽は育つ
●技術に対する選択眼が必要
リライト担当者 代筆担当者A に伺いますが、創造的な研究を伸ばすために、経営というような立場としてはどういうふうに構えてほしいというご注文というのはあると思うんですが......。
代筆担当者A 大変むずかしい問題ですが、先ほどから、SEO担当者Y先生や衛星サイト運営者S先生からご指摘がありましたように、日本でも"技術の卵"はずいぶんあったと思うんです。
しかしそれが工業化に結びついたケースというのは非常に少ないわけです。
日本では、日本の中であった仕事なんか見ないで、アメリカでやったのを見てそれを早く工業化するということが大変褒められる対象になっているんですね。
そのときにぜひ私がお願いをしたいのは、その前に日本にあったではないかといっていただきたい。
そういう感覚をまずもっていただきたい。
なぜそれが日本の工業と結びつかなかったのかということを、ここで考えていただきたいということです。
少し私なりに解析をしていることを申し上げますと、日本人というのはきわめて実証主義的なんですね。
実際に儲けてみせなければ儲かるとお思いにならないわけです。
だからアメリカで儲かるのを待っている、見ているわけです。
それから、少なくともどうも残念ながらアメリカ人があれはいいよというと、どうもいいらしいと思うんですが、日本人がいいよといってもあまり信用しないという非常におかしな感覚がまだ残っているんですね。
会社の中にも必ず本当の目利きはいられると思います。
その目利きを早く見つけ、その人にジャッジさせるという体制をつくることが大切なことではないかと思います。
リライト担当者 その目利きのよくできる人というのは、たとえばどういうような方でしょうか。(笑)
代筆担当者A 私がいつも申し上げますのは、要するに若いうちから何かに対する評価をやらせるんです。
それを紙に書きまして残しておく。
五年たったら開けてみる。
十年たったら開けてみる。
やはり十年たったら、何が将来本当に使いものになるかということを見抜く人ぐらいは、そういうやり方で評価ができるんだろうと思うんです。
リライト担当者 SEO担当者Yさん、いかがですか。
SEO担当者Y 評価者というのは必ずしも人格者じゃなくていいんだろうと思うんですね。
とにかく転んでもすぐ商売を考える人間、ベンチャービジネスの社長というのはかなりそういう方がアメリカでも、たとえば遺伝子工学というのを見れば、これでひとつ儲けてやろうと、かなりみんなせこい方がいらっしゃる。
これは非常にこれから日本の企業の中で必要な人材だろうと思います。
またアメリカがやれば日本もやるということがありますが、これは全くその通りでして、その傾向が減っていくのか増えていくのか心配になっている問題があります。
これは研究開発にしろビジネスにしろなんでもそうですが、本屋にいってみますと、やたらに英語で書いた雑誌が多くなりました。
これはなんとなく横文字で書いているとカッコいいとか中身がいいとかいう意識構造ではないかなと......。
科学の雑誌というのはみんな横文字で書いてあるんです。
それは出版社が悪いんじゃなくて、そのほうが売れるという心理構造が日本にあるんです。
そこらへんが、いま日本のもっている問題だと思いますね。
なんとかセミナーといったほうが人が入るとかですね。(笑)
リライト担当者 衛星サイト運営者Sさん、いかがですか。
衛星サイト運営者S たしかにおっしゃるとおりのところがありますね。
実は、本当に科学、技術というのは横文字でないと売れないのかというようなことで、実際にいま、たとえば技術特許みたいなものが日本から出ていくのと向こうから入ってくるのと、どの程度の比率なんだということを・そういう国際特許情報を扱っている会社がありますから、そういう所へいって聞いてみますとね、やはり八対二から七対三ぐらいで入ってくるのがまだ多いんだそうですね。
やはりまだそうい皇、喋では導入型、もちろんこれはそれだけ日木の独創的な技術ないし特許が欧米に比べて数が少ないといゑ.喋ではなくて、やはり言葉の問題もあって、それを英語にして登録するという手間を、なかなか日本の方々はおやりにならないというようなこともひとつある。
やはりまだまだトータルとして考えれば導入的なんだということが非常に多いと思うんです。
それから先ほど代筆担当者A がおっしゃった評価の問題ですけれども、これはみなさまの企業の中にも優秀な技術者を何入か抱えていらっしゃると思うんですが、そういう技術者の方々の評価というのは、いろいろむずかしい問題があるだろうと思うんです。
技術者の方々の評価を、同じ技術者レベルの方々が評価をしようとする場合に一つ問題になるのは、たとえば大学の先生が自分の弟子を、この弟子はいい弟子だというのは、自分の能力の七〇%の弟子に対してが、いちばん多いんだそうですね(笑)。
したがって、たとえばある研究室があったとして、二代口になれば能力は七〇%、三代目になれば四九%、四代目になれば......というふうになって、世襲制度をとると必ず質が落ちていくというのが一般的なあり方です。
そうすると、技術者なら違うジャンルの技術者との交流、ないしは違う機関との交流みたいなものが非常に大事になる。
そういうようなことを企業の中でもある程度とり入れることが技術者の活性化にも非常につながるのではないかと思うわけです。
ですから、その評価と交流というのは非常に大きな問題ではないか。
自分の領域なら領域をわきまえられて、いい技術者を伸ばすようなそういう方策がとれるかとれないかというのは、これからの日本の技術を伸ばしていくための非常に大きな条件になるんじゃないかと思うんです。
●評価能力の欠落
リライト担当者 日本では、研究開発という言葉はよく使われるようになりましたけれども、評価という言葉はそれほど人口に瞼災しておりません。
日本がいちばん欠けている能力というのは、研究開発能力が欠けているというんではなくて、はっきりいって評価能力が欠けているんだと。
それが未来技術の夢を育てていく最大の社会的な障害になっているんではないかというふうに思います。
これまでは、マラソソじゃありませんけれども、二番手で走っていて、風があるとすぐトップランナーのうしろについて風をよけ、ゴール千メートルぐらいのところでサッと抜いて一番になる。
これはそこで勝つからそれでもいいんですけれども、こればっかりやっておりますと、いまは貿易摩擦ということなんですけれども、まもなく無評価摩擦ということで、だんだん日本人はずるいということがはっきりいわれるようになってくると思います。
これをなんとかしないと、まず国際的にもむずかしくなりますし、それぞれの企業が立ち行かなくなっていくだろうということで、いかに技術の評価をやれるようにしていくかということが、私は未来技術の革新ではないかというように思います。
さらにこの点について代筆担当者A 、なにかございましたら......。
代筆担当者A 私は、先ほどお話が出ておりましたように、国際化ということは、大変自然である、素直であるということだろうと思うんですね。
日本の企業は、どういうわけですかみんなアメリカの大学には寄付をなさるけど、日本の大学には寄付をなさらないですね。
そういうところがあります。
ですから日本の中にいい技術がないんなら、なにも日本の技術を育てる必要はないんで、卵のいいのがなければ育てる必要はない。
しかし、さっきファイバーの話で皮肉をいいましたように、日本の中のことは、全く目に入らない方がいらっしゃるということです。
実はアメリカの電力中央研究所で、私どものつくりました新しいサイビスタの評価をやってくれているんです。
きわめてフランクに評価をするわけです。
自分たちがデータとしてとったことを素直に受け止めて、これはものになりますよということをいってくれる。
日本じゃどうするかというと、おっしゃらないですね。
測ってごらんになったらいいんです。
使えるか使えないかということは、これは魔術じゃないんですから、サイエンスなんです。
テクノロジーなんです。
ご自分の測定結果によって、これは使えるか使えないかということを判断なさればいいんです。
それができていないんですね。
いいかえますと、そういう日でごらんになれば、日本の中に企業化できる種はまだたくさんあります。
そういうことでは、全然ご心配になる必要はないと思うんですね。
それがひとつです。
それから、ライティング先生のお話にはフィットしないことまでお話してしまうことになると思いますが、これは研究者のほうにも評価がいるわけです。
ですからさっきちょっと申し上げましたように、日本の研究老でいい卵をもっているのがいなければ、それは外国の研究者の卵を育ててそれをもらってこられるということでかまわないんだろうと思うんです。
しかし、日本の研究者の中にいいのがいれば、そこにやはり金をつぎ込む。
それから、これは東洋民族のあるいは個性かもしれないですね。
教育者としてはそういうことはいいたくないんでありますが、やはり改良するということに非常に天分がある。
これは決して悪口をいっているわけでもないんです。
改良するということも非常に重要です。
安くていいものを世界中の人類に提供していくということは、これは立派な世界に対する貢献だと思います。
しかし先ほどライティング先生がおっしゃいましたように、風よけレースぽかりやっておりますと、おそらくその間に割り込んでくるやつがいるんですね。
そして日本はビリになるわけです。
それをやらないようにしようと思えばふらふらになてしまうわけで、ひっくりかえって国際問題になってくるということに必ずなってくるわけです。
ですからそういう意味で、やはり一部はトップランナーを続けなければいけない。
5ハイテク社会を実現するために
●いま一度、われわれの人間観、世界観を問い直そう
リライト担当者 そこで、これから未来技術の夢を育てていくためにどうあらねばならないかということで、評価ということが非常に重要だということが出てきたわけですが、さらに付け加えてこういう点があるのではないかということでなにかありましたら......。
衛星サイト運営者S 少し古いデータなんですがこういうデータがあります。
アメリカの研究開発投資に対する製品としての見返りが〇.六%。
それに対して、その当時の、これは多分いまから一五年から二〇年ぐらい前のデータだと思いますけれども、日本の研究開発投資に対する見返りの割合が六〇%、つまり二桁違うといわれます。
これを日本の研究開発投資に対する余裕のなさと受け取るのか、それだけでちゃんと見返りを考えないと投資をしない堅実さと受け取るかは、いろいろ考え方はあると思いますが、そのくらいにとにかく開きがあるというような結果が出ているようですね。
ところで、近い将来、技術が非常に人間のほうに近づいてくるような時代になるという全体の趨勢があると思うんです。
そういうなかで、われわれが結局そういった技術をいかにうまく使えるかどうかということは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり技術に対する選択眼みたいなものをいかにもっているかということにかかってくると思うんです。
そういう選択というのは、必ずしも専門の科学者や技術者がやることではなくて、むしろ一般のわれわれがやるべきことではないか。
たとえばバイナテクノロジーなんていうのは非常に典型的な技術分野だろうと思いますけれども、これをうまく使っているうちは、インターフェロンやインシュリン、あるいはポマトのようなわれわれがびっくりするようなすばらしい植物や薬品などが手に入るようになるわけですけれども、一歩間違えると、とんでもない怪物を、例えばわれわれの身体に害のあるような細菌をつくり出したりする可能性があるわけです。
それが究極のところへいけば、ヒットラーのように、ゲルマン民族ならゲルマン民族だけがいいというような、選択だってできないわけではない。
そういった技術ですから、善用するためには、やはりただ研究者、科学者だけの選択にゆだねているというのは非常に危険性があるのではないかと思います。
これはなにもバイオテクノロジーだけではなくて、エネルギーの問題にしても、それからサブミクロンないしは非常に小さなほうのいわゆる分子レベルの物質の問題にしてもやはり同じだと思います。
やはり、一般人の人々のそういう評価尺度みたいなものが、これからの技術社会をよくもする悪くもする非常に大きな鍵になるんではないか、そういうような気がいたします。
SEO担当者Y 全く同じ問題を今度申し上げようと思っていたわけでして、もう少しそれを続けますと、日本はいまこれから試される時代に入ると思います。
それはもちろん研究に携わる方々もそうですが、先ほど申し上げたように、その中から何を拾い上げて伸ばすか、企業の問題ですね、これが試されるだろう。
そのときに、物はもうあるわけですから、いったいわれわれ日本人はどういう生き方をいいと思うか、どういう道具立てがあれば幸せなのか、そういった日本人への価値観が問われるのだと思いますね。
そこでビジネスが出てくるわけです。
それが国際社会に敷衍できるものかどうか。
さっき衛星サイト運営者Sさんがおっしゃったように、これは国際性というのを考えなければいけない。
国際社会に敷衍できるものなのかどうか、そこらへんの選択というものが非常に重要な問題になってくる。
それは逆にいうと、日本が生き残れるか生き残れないのかの決定権を握るんだろうと思うんで、そして非常に大切なのは、これから一〇年の経営者の目だと私は思います。
で、日本が、努力すれば非常にいい方向に動けるんじゃないかというある意味では楽観的な見方をしますと、日本の人口密度というのは高い。
私は世界はいずれ日本ぐらいの人口密度になると思います。
つまり、世界の二〇一〇年か、行きつく先の状態は、おそらく日本はもっているんだろうと思うんです。
その中で日本が編みだす非常に人問くさいー宇宙の制約じゃなくて足もとにですね、それは世界に対する貢献として評価されるんじゃないかと思います。
ですから、問われるのは企業家のみなさんの価値観といいますか、どういう価値観をこれから一〇年間につくって、どういう生き方がいいと思われるかということです。
リライト担当者 最後に代筆担当者A に、いままで日本人がやってきたなかで、こういう点はいいところじゃないか、これはもっと伸ばしていくべきだという、そういう点からのこ発言が何かあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
代筆担当者A あまりいいところというのは思いあたりませんが、やはりさっき申し上げましたように、世界中の人類によくて安いものをフィードバックしてきたということは、最近の新しい文明のうちのかなり大きなパーセンテージを占める日本民族の貢献であったというふうに思います。
そのべースはいろいろありますけれども、先ほどからお話が出ておりますように、二番煎じ技術というものだけでは、これからどうみても立ち行かない。
それからちょっとSEO担当者Yさんの揚げ足をとりますと、試練を迎えるとおっしゃったんですが、あとで別な意味の発言をしていらっしゃるんで、考えていらっしゃることは同じだと思いますが、試練というものはもうないんじゃないか。
つまり結論しかないんだということですね。
今度しくじったらもういっぺんやり直そうというやり直しのきかない時期がいよいよやってくるんだと私は思っております。
それぐらい手厳しい状態に、おそらく追い込まれるのではないかという気がするんですね。
それからSEO担当者Yさんのお話にいい意味で乗るんですけれども、日本人というのは、ひとつには人生観がないんじゃないかという気がするんですね。
やはりなんといっても資源濫費時代というのには、そろそろ先がみえてきている。
よくいわれますように、子孫にツケをまわしながらわれわれが享楽をむさぼっている、そのために資源を浪費しているということを考え直さなければならないということが、これからのひとつの大きなターゲットではないか。
とにかくそういうことを考えてまいりますと、もっと資源を大事にする手立てということをわれわれが考えだしていけば、そういうものがまた世界中に売れることになります。
つまりそういう考え方でいけば、やることはいくらでもあるということを申し上げておきたいと思います。
そういうことをまたやれば必ず売れるんです。
それは間違いのないことだろうと思います。
●未来技術への思い
リライト担当者 最後に、未来技術の夢としてはこれであるということを、ひと言ずつお願いしたいと思います。
SEO担当者Y 私は、日本文化というものをもう一度見直したい。
科学を考えるにも、日本というのは特異な文化の感性をもっておりまして、自然と人間が共存している、本来はですよ。
いまの東京は違いますけれども、本来そういう感性をもっていた。
道具の扱い方にしても、道具と人間が同じレベルにある。
奴隷ではない。
そういう人間と機械、道共の関係を伝統的にもっていた文化圏なんですね。
それをもう一度ここで、一種のルネッサンスといいますか、思い起こすと、おそらくこれから先の二〇〇〇年へ向けての人間と機械のあり方、これは大問題です。
これの解決の手がかりが出てくるんじゃないかなと思うわけです。
衛星サイト運営者S いまSEO担当者Y先生がおっしゃったように、私も、科学や技術が日本人の中に文化として定着するということが、非常に重要だということを日頃感じております。
それに、人間というのは将来に向かって夢を抱く夢を抱くというのは人間の一種の特性であるし特権であるかと思うんです。
したがってそういう夢を描いておいて、それを実現するために強い意志をもって努力をすれば、そういった夢は実現するんだ、それがわれわれの二十一世紀をつくっていくんだということを考えておくのがいいんではないか、というような気がいたします。
代筆担当者A 申し忘れたことを一つつけ加えさせていただきますと、たとえぽこういうことができないか、人間社会のためにこういうことが必要だし、そういうことを実現することはできないかというような考え方で技術開発をリードするということも、わりに日本民族には合っているんじゃないかと思うんですね。
目的を与えずにやらせておいて、そこから出てくるのを待つということよりは、そのほうが効果的ではないかと思うわけです。
河成鎮生さんによると、経済がいよいよ計画経済をある程度導入しなけれぼやっていけないことになってくるわけですが、そういう意味では、われわれ自身がやはりすぐれた科学技術者であると同時に、人間としていかに生きるべきかということを、一人間として本当にまともに考えることが必要な時代に入ってきている。
それがひいては、いろいろな形で戻ってまいりまして、企業展開にも生きてくるだろうと思われます。
残念ながら人間性を国際化するという点で......、国際化するというより、SEO担当者Yさんのお話でいえば、むしろ宇宙化するというべきかもじれませんが、そういう方面の進歩というものが非常に遅れてしまっているんではないかということも、ちょっとつけ加えさせていただきます。
リライト担当者 幸か不幸か、あまり外に見本というか、お手本をとるということで過ぎていくという状態ではなくなってきてきている。
それは、日本の社会の中でお互いに切磋琢磨して目利きをし合いながら評価していくという形でしか、未来技術というものも、花開いていかないんではないかということではないでしょうか。
しかもそのお手本というのは、本当はわれわれ自身の生き方にあるのではないかというところまで代筆担当者A にお話をしていただいた、というのが、今日の結論ではないかと思います。
日本人として、私たちは生活を大事にして、人生についてよく考えることをしたいものです。